海事代理士登録 海事代理士会への入会
このページでは、海事代理士国家試験に合格した後のことにつきお話致します。
海事代理士として仕事をしていく上で、まず
地方運輸局への登録、その後に
海事代理士会への入会(任意)という流れとなります。
海事代理士法の確認も怠らずに。
※参考法令として記載されているものや必要事項等の情報については、必ず最新のものをご自信にてご参照ください。
◆ このページの目次
- 海事代理士名簿への登録
- 日本海事代理士会のご案内
- 日本海事代理士会への入会
- 海事代理士法(抜粋)の確認
- 海事代理士登録後
- 個人事業開廃業届等
- 報酬の源泉徴収義務
- 海事代理士の領収書
- お客さんを獲得するには
- 過当競争に参入する是非
- 無料相談に関する是非
- モンスタークレーマー等への対応
- 海事代理士を廃業するには
※ここに掲載している画像等を勝手に使わないでください。一声だけお願いします。
海事代理士になるには、地方運輸局への登録が必要です。
海事代理士としての第一歩がここにあるわけです。
・該当法令規定
海事代理士法第9条第1項
同法施行規則第1条第1項
◆登録を受けようとする事務所の所在地を管轄する地方運輸局等へ以下の書類を申請してください。
- 手数料3万円
- 登録申請書
- 宣誓書
- 海事代理士試験合格証書の写し。認定者の場合は認定書の写し
- 戸籍抄本
- 成年後見登記制度における登記されていないことの証明書
※登録申請書に、
海事代理士の職印を押印します。海事代理士業の実印のようなものですね。
他士業とは異なり、「海事代理士」が印影に入っていなくても登録は可能で、個人の実印でも構いません。
ただ、官公署に提出する文書並びにお客さんに発行する請求書や領収書等の文書に個人の印影ってちょっと・・・って気も個人的にはします。
「海事代理士高松大乃印」
「海事代理士高松大印」
といった形で作成することが好ましいでしょう。丸印・角印の制限もありません。私の場合は、海事代理士はオランダ水牛の丸印、行政書士もオランダ水牛で各印を使っています。
(行政書士は「印鑑規則」というものがあって、職印に関して細かい縛りがある)
大きさも24mm程度までであれば申請書の枠ははみ出ますが登録可能です。
私も当初は24mm角を使っていました。が、すげー邪魔です。デカくて。
各々で押印する書類をはみ出まくるわ、バッグの中で場所取るわで、途中からうっとうしくなりました。
※
登記されていないことの証明書とは
「成年後見登記制度における登記されていないことの証明書」は、法務局で受領します。なお、こちらは郵送での交付申請ができます。詳しくは最寄りの法務局へお問い合わせ下さい。
※なお、こういった書類の収集能力は実務家には必須です。この機会にしっかりと覚えてください。
以下、海事代理士登録申請先です。
- 北海道運輸局 海事振興部旅客船舶産業課
TEL 0134-27-7176
〒047-0007 小樽市港町5-3
小樽港湾合同庁舎
- 東北運輸局 海事振興部海事産業課
TEL 022-791-7512
〒983-8537 仙台市宮城野区鉄砲町1
仙台第4号合同庁舎
- 関東運輸局海事振興部旅客課
TEL 045-211-7214
〒231-8433 横浜市中区北仲通5-57
横浜第二合同庁舎
- 北陸信越運輸局 海事部海事産業課
TEL 025-244-6115
〒950-8537 新潟市万代2-2-1
- 中部運輸局 海事振興部旅客課
TEL 052-952-8013
〒460-8528 名古屋市中区三の丸2-2-1
名古屋合同庁舎第一号館
- 近畿運輸局 海事振興部旅客課
TEL 06-6949-6416
〒540-8558 大阪市中央区大手前4-1-76
大阪合同庁舎第4号館
- 神戸運輸監理部 海事振興部旅客課
TEL 078-321-3146
〒650-0042 神戸市中央区波止場町1-1
神戸第二地方合同庁舎
- 中国運輸局 海事振興部旅客課
TEL 082-228-3679
〒730-0012 広島市中区上八丁堀6-30
広島合同庁舎四号館
- 四国運輸局 海事振興部旅客課
TEL 087-825-1182
〒760-0064 高松市朝日新町1-30
高松港湾合同庁舎
- 九州運輸局 海事振興部旅客課
TEL 092-472-3155
〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2-11-1
福岡合同庁舎
- 内閣府沖縄総合事務局 運輸部総務運航課
TEL 098-866-0064
〒900-8530 那覇市前島2-21-7
カサセン沖縄ビル
◆相談窓口:海事局総務課調整係
03-5253-8111(内線43144)及び上記各地方運輸局等窓口
海事代理士登録後は、海事代理士LINEグループへぜひご参加ください。
海事代理士募集
新人〜ベテランの海事代理士の皆様の参加お願い。
お仕事の依頼、業務の相談、交流を目的とした海事代理士LINEグループを作りました。 中堅〜ベテランは仕事の下請け先を、新人は仕事をもらったり相談等で利用できると思います。
招待希望の方は高松までLINEでメッセージ下さい。
その際、簡潔に以下の情報をお願いいたします。
- お名前
- どのエリアで開業しているか
- あるいはどのエリアで開業予定か
※匿名のグループではありませんので、身分のわからない方はご招待いたしかねますことご承知おきください。
|
- 目的(定款第3条より要約)
- 支部会員相互の緊密な結合による海事代理士会の品位保持
- 海事代理士業務の改善・進歩
- 日本海事代理士会本部との連絡調整による相互の親睦増進
- 事業内容(定款第4条より要約)
- 支部会員の品位保持のための研鑽事業
- 業務に関する研修・指導・連絡事業
- 支部会員及びその補助者間の交流親睦事業
- 広報活動の事業
- 福利厚生事業
- その他必要事業
- 入会のメリット
- 各種研修会への参加、研修会の優遇など
- 人脈・ネットワークの拡大
- 情報交換や取得など
- 会員章(バッジ)・会員証・倫理要綱状の貸与
- 事務処理規定等の実務書の入手
- 信用力の拡大
- 最新情報の案内、海事の窓の発行
- 会員専用ホームページの閲覧
- 専門部会への参加
- MARITIME ACCESSへの参加
- 海事代理士業界への振興
入会のメリット |
各種研修会への参加、研修会の優遇など |
海事代理士会では、年に数回程度、支部単位で研修会を行っております。
また、年に一度「中央研修会」という名前の3日かけて行う大きな研修会があります。
これらの参加費用が会員と非会員とで倍近く違います。 |
職務上請求書 |
戸籍法及び住民基本台帳法等の法令の規定に基づき、一定の法律資格者(弁護士・弁理士・司法書士・行政書士税理士・社会保険労務士・土地家屋調査士・海事代理士)にのみ認められた特権です。
とはいえ、海事代理士に関しては「日本海事代理士会の会員」に限り、この職務上請求書を使うことができるとされています。
この点につき、先例があります(平成7年12月22日付法務省民事二課照会回答)。
- 海事代理士が職務上戸籍等等を請求をする場合の統一請求用紙は(社)日本海事代理士会の会員にのみ使用が認められるものであり、非会員が統一用紙を譲り受け、または会員名をもって統一用紙を使用することは許されない。
- 海事代理士会の会員海事代理士であっても、非会員が受託した業務につき非会員の依頼に応じて会員名をもって統一用紙を使用して戸籍謄本等の請求をすることはできない。
つまり、日本海事代理士会に入会しないと、職務上請求書は使えないということになります。当然、「会員にのみ使用が認められるもの」としていますので、退会後は使えないということになります。
職務上請求書は業務を扱う上で、「それが無いと仕事できない(に等しい)」という性質のものもあります。
例えば、単に船舶の住所の変更に伴う手続きで、忙しいお客さんに変わって取ってあげる、というだけであれば委任状で取ってしまえばいいだけなのですが、これが例えば、「相続」に伴う移転登録・移転登記ということになると、被相続人の出生時に遡って戸籍等の証書類の収集事務が必要になります(相続人の調査)。
そうなると、委任状で処理するのはとんでもなく大変だし、クライアントにも大きく手間をかけることになります。場合によっては、職務上請求なくして処理しきれない、という事態も往々にしてあります。例えば、他の相続人が非協力的だとか行方不明だとか。
そういった意味でも、この「職務上請求を使える」ということは、法律家というカテゴリーの仕事をする上では比較的必須になると思慮するところです。
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海事代理士補助者証/特定事務指示書 |
海事代理士の補助者制度は現行の法令にはなく、日本海事代理士会独自の制度となりますが、その効力は準公的なものであると思います。
特定事務(船舶登記令第35条が準用する不動産登記法第2条第14号に係る登記識別情報の受領)の指示などの制度もあり、業務を行っていく上でたいへん重要な制度となっています。
このあたりで、会員と非会員に大きな隔たりがあるわけです。 |
人脈・ネットワークの拡大・情報交換や取得など |
この業界での人脈確保という点でのメリットが非常に大きいと言えます。「絶対」に必要と言っても過言ではありません。
人脈というものは、士業を展開していく上で非常に重要なことです。
私自信、非常に忙しいときに急ぎの事件の依頼があった場合などは協力をしてもらうことも多々ありますし、逆もまた然りです。相互に業務に関する情報交換をしたりなど、今後、事務所を経営していく上で大きなことであると個人的には思います。まず第一に、良い先輩とめぐり合えるかどうかで、今後の自身につき、大きく変わるだろうことは間違いないと確信しています。
私も開業当時は複雑な事件に対応することができず、先輩海事代理士の先生に頼る場面も多々ありました。もちろん、今でも自己の不得手な業務で、急ぎの処理を望む依頼が来た場合など、その分野について数多くの実績のある先生に複委任という形で業務処理を委託する場合や、事務所に来訪してわからないことを聞いたりなどもします。もちろん、今でもそうです。
私自信、後輩海事代理士先生に業務について質問される機会も増えました。
そうやって成長していっては、今度はお互いに知らない分野の業務に精通していく、海事代理士として成長していく、お互いに助け合える、これってとても面白いことでもありますし、素晴らしいことだと思います。
また、同業で他資格(司法書士・行政書士)と兼業の方もいます。こういった方々との関係も非常に大切です。開業始めで、これらの資格者のツテがない場合、知らない人に突然仕事を頼むことになってしまうと思います。その場合に、海事代理士会の会員である兼業者との人脈があれば、仕事もしやすい場面もあると思います。
例えば、法人の許認可を取ってあげる際、会社であれば目的の変更(商業登記)をしなければなりません。その際、「ご自分で司法書士に依頼してください」では、ちょっと不親切かも知れませんね。また、許認可を取ってあげたお客さんがその他の営業許可を欲しがるケースも多々あります。そういった場合はやはり行政書士・社労士との連携も必要ですし、他士業の協力が必要なケースを言い出すとキリがありません。毎回とは言いませんが、少なからず、人脈があるに越したことはないと思います。
また、同じ支部の会員に他士業の方がいらっしゃらなくても、皆さんは提携先を持っているでしょうから、紹介してもらうということもできるでしょう。 |
会員章(バッジ)、会員証・倫理要綱状の貸与 |
菊花は法律を
ラットは海事を
花弁は団結を
1.海事代理士会のバッチはデザインが格好いいということで、非常に人気が高く同業士業(行政書士・社労士など)の先生方からも支持されています。
バッチを付けるメリットとしては、資格者であることを客観的にアピールできることが一番に挙げられます。バッチはいうなれば、法律家としての証明といっても過言ではないでしょう。
私も普段は付けていませんが、仕事の時、特にクライアントとの打ち合わせに望む際には必ず付けています。
また、役所での申請などをする際にも、「はじめてですか?」とか「あなたが海事代理士である証明はありますか?」と、結構恥ずかしくなるようなことも言われない(かも)です。
2.会員証は、身分証明書です。役所での申請の際(特に運輸局の海技資格課・法務局での登記申請)に資格者としての身分証の提示を求められます(求めないところもあるかもしれませんが)。また、職務上請求等で身分証を求められるます。そういった場合に海事代理士としての身分証明に使えます。常に携帯しているとよいでしょう。
3.倫理要綱状は、事務所に掲示することにより、資格者として、また、法律家としての威厳をアピールできるものと思います。また、品位・資質についても記載されているため、自分の心の引き締めにもなるでしょう。
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事務処理規定等の実務書の入手 |
非売品資料です。研修会資料であったり、代理士会で作った業務資料であったりなど。
ハッキリ言って私の知りうる限り、代理士会でなければこのような有益な業務資料は作りえないですし、会員でなければ入手し得ないものと考えられます。
登記資料・海上運送法関係などはぜひ手に入れたいもの。
過去の実務書等の資料も会員専用Webページから落とせ、これは尋常ではない程助かります(個人的な意見です)。実際に開業後現在も普通に使っています(2013年現在)。 |
信用力の拡大 |
★お役所絡み
まだまだ業界全体に浸透しているとは言い堅いので、どこへ行ってもというわけではないのですが、、私の知りうる限り、関東運輸局の海技資格課や東京法務局では代理士会の会員であるかを問われ、又は会員証の提示を求められたということを耳にします。
私自身、船舶登記申請の際に会員証の提示を求められたことがあります。
そういった面からも、やはり非会員の先生は肩身の狭い想いをした経験があるそうです。
役所的に見ても、代理士会の会員でなければ身分の担保、つまりそのものが真に海事代理士であることを判断することが難しいことや、能力が担保されているかという点も気になるところではないでしょうか。また、私の耳にする限りでは、どこの官公署とは言いませんが、非会員の一見さんはかなり面倒臭がられる傾向があるようです。
★同業者絡み
例えば登記関係の証書の受領や、許認可の申請、船舶検査の申請などで、どうしても地方の先生に頼らざるを得ないケースがあります。
代理士会の会員であれば、Web上ですぐに所在を確認できますが、非会員であればそうもいきません。
ご存知の通り、「紹介」は非常に重たいもの。するにしてもされるにしてもです。
我々のような実務法律家は非常に大きな「専門家責任」が生じます。ビビらせるわけではありませんが、業務によっては信じられない額の損害賠償を請求される危険性を孕んでいるわけです。一見の、身分が定かではない人に仕事を任せられて受託できますか?私は正直怖いです。また、頼む時に同じことを考えられてしまう可能性もあるわけです。
前述した他士業の先生のへの協力を求めるのにも少なからず同じことが言えると思います。 |
最新情報の案内、海事の窓の発行 |
定期に最新情報のFAXや、配布物等が郵送で送られてきます。最新情報に近時の法改正や、海事業界の動向などが記されていて、我々にとって大変有益な情報となります。
また、不定期で発行される「海事の窓」という冊子ですが、これはもう大変役立つ情報満載です。
過去のものも是非、会員となり、同じ支部の仲間に見せてもらってください。 |
会員専用Webページの閲覧 |
これがもう、大変役に立つものばかりです。
あまり内容を公にするわけにはいきませんが、大まかなものだけ。
法令データ集や運輸局一覧データ、海事関係の官報や業務資料があります。
特に業務資料はこれはもう大変価値のある貴重な情報であることは間違いありません。
このページは会員しか見ることのできないよう、徹底した管理体制が敷かれています。 |
専門部会への参加 |
専門部会は会員専用の集まりで、船舶部会・船員部会・海上交通部会で構成された、海事代理士の取り扱う海事法令の3分野を担当する機関です。
その目的は、
1.海事法令と手続業務について会員の業務をサポートする
2.海事法令の「研究と業務情報の蓄積を体系的に行うこと
となっています。電話で話すほど親しい同業者がいない場合や、公の場で議論することができるなど、大変有益な場です。海事代理士の実務を勉強する上でも重要であると言えます。 |
MARITIME ACCESS(マリタイムアクセス)への参加 |
マリタイムアクセスは、端的に言うと「法テラスの海事ヴァージョン」であると言えるでしょう。
法テラスとは“全国どこでも法的トラブルを解決するための情報やサービスを受けられる社会の実現”という理念の下に、国民向けの法的支援を行う中心的な機関として設立されたもので、正式名称は「日本司法支援センター」です。こちらの組織に海事行政・海事法令に関することは特段明記されておらず、海事代理士もいません。
そこで、日本海事代理士会が一般市民と海事関係者を対象に、海・船・港に関する地域情報をはじめ、海事分野における法制度の概要、海事や海技資格手続きについての最新情報など、簡潔な情報提供を行うことを目的として立ち上げた事業です。
正式名称は「海事関係者等のための情報支援システム」です。 |
海事代理士業界への振興活動(政治連盟への加入) |
ズバリ、海事代理士資格の実質的な向上へ繋げることに意義があります。これらを達成するにはやはり法律の改正へ繋げる必要があります。
ご存知のとおり、法律の改正となると政治活動は然ることながら、詳しい事情は割愛しますが、同じ意思を持った仲間たちとの「結束」が必要です。「海事代理士間の結束」は、日本海事代理士会以外には存在し得ません。
また、併せてほとんどボランティアで活動してくださっている諸先輩方を応援する意味でも日本海事代理士政治連盟への加入を推奨するところです(任意)。
海事代理士会の法制度化、海事代理士会の強制会化、ひいては一番期待されるところが、やはり海事代理士法の不備を埋めることであると思います。
別表の機関にJCI等の業務上重要な機関が入っていないこと、漁業法・漁船法・遊適法・小型船舶登録法・貨物利用運送事業法・倉庫業・海商法(海運契約関係)などの重要法令が入っていないこと。
知っていますか?総トン数20トン未満の船舶の所有権移転登録や検査申請、トン数の測度に関する法律(試験出題科目)に係る手続き、漁業等の各種手続きが、これらの不備によって行政書士の独占業務とされてしまっていることを。先日ようやく、内航海運業法と船員職業安定法に関する手続きが開放されたばかりです。
また、建設機械登記や打刻申請、港付近での倉庫業の手続きなどの海事代理士古来の業務も他士業法に実は触れているのです。
これらの改善を強く求めるべく、全国の海事代理士での結束が非常に重要なのです。 |
上記のメリットは、一部にすぎません。海事代理士会に入会すると様々な特典があります。
私自信、日本海事代理士会に育てられた身ですし、日本海事代理士会がなければ、今の自分はなかったと思っております。
2007発売、改訂版合格マニュアルの合格体験記にも書きましたが、いくら試験で海事法令を頭に叩きこんだとしても、実務で通用するわけではありません。畳の上でいくら泳ぐ練習をしたとしても、実際に海や川で泳げたら苦労はないよということ。そういった意味からも、海事代理士会への入会をお勧めします。
今後、そういった意味からも、また、海事代理士としての業界を知り、かつ、法令実務を勉強していく上においても重要ですので、登録と同時に入会することを強くお勧め致します。
入会に必要な書類は以下のとおりです。
- 入会申込書
- 経歴書
- 誓約書
上記書類を
本部会長あてに各2部提出して下さい。
問い合わせ先
(一社)
日本海事代理士会 本
海事代理士として業務を行うにあたり、
海事代理士法の熟読を必ず行うことが必要であると言えます。
以下、抜粋で解説致します。
※私極的解説もありますので、その点のご理解をお願い致します。
海事代理士法(抜粋)
(業務)
第一条 海事代理士は、他人の委託により、
別表第一に定める行政機関に対し、
別表第二に定める法令の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続をし、及びこれらの手続に関し書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)の作成をすることを業とする。
別表第一 (第一条関係)
- 国土交通省の機関
- 法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所
- 都道府県の機関
- 市町村の機関
別表第二 (第一条関係)
- 船舶法
- 船舶安全法
- 船員法
- 船員職業安定法
- 船舶職員及び小型船舶操縦者法
- 海上運送法
- 港湾運送事業法
- 内航海運業法
- 港則法
- 海上交通安全法
- 造船法
- 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
- 国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律
- 領海等における外国船舶の航行に関する法律
- 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律
- 前各号に掲げる法律に基づく命令
※なお、上記海事法令の他、
- 船舶のトン数の測度に関する法律
- 小型船舶の登録等に関する法律
- 建設機械登記令
- 建設機械抵当法
- 小型船舶造船業法
- 倉庫業法
- 貨物利用運送事業法
- 漁船法
- 漁業法
- 農業用動産抵当登記令
- 遊漁船業の適正化に関する法律
などなど、別表第二に規程する法令以外にも、業務に関連する法律があります。これらの法律に係る相談も多々あると思いますので、適切に対応できるよう、常に勉強を怠らないことが大切です。
(登録事項の変更)
第十一条 海事代理士は、登録を受けた
第九条第一項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、地方運輸局長に変更の登録を申請しなければならない。
- 氏名
- 生年月日
- 事務所の所在地
- 業務に使用する印章 以下省略
(海事代理士でない者の業務の制限)
第十七条 海事代理士でない者は、他人の委託により、業として第一条に規定する行為を行つてはならない。但し、他の法令(
弁護士法等)に別段の定がある場合は、この限りでない。
2 海事代理士でない者は、海事代理士又はこれと紛らわしい名称(
例:海事代理人・海事代行人など)を用いてはならない。
(誠実等の義務)
第十八条 海事代理士は、誠実且つ敏速に、みずからその事務を処理しなければならない。
(秘密を守る義務)
第十九条 海事代理士は、法律に別段の定がある場合を除く外、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を他に漏してはならない。海事代理士でなくなつた後も、また同様とする。(
いわゆる「守秘義務」規定であります)
(業務に使用する印章)
第二十条 海事代理士は、その業務を行うにあたつて印章を使用するときは、第九条第一項の規定により登録をうけた印章によらなければならない。
※
申請書や請求書・領収書、契約書に押印する印鑑は登録した職印を用いる。
(帳簿)
第二十一条 海事代理士は、国土交通省令で定める様式の帳簿を備え、左の事項を記載しなければならない。
一 取り扱つた事項の概要
二 委託者の氏名又は名称及び住所
三 委託者から受けた報酬の額
2 前項の帳簿は、当該帳簿に最終の記載をした日から起算して
三年間保存しなければならない。
(報酬)
第二十二条 海事代理士は、その業務の開始前に、委託者から受けようとする報酬の額を定め、これをその事務所において
公衆に見やすいように掲示しなければならない。これを変更するときも同様とする。
2 前項の報酬の額は、適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものでなければならず、また、特定の者に対し、差別的な取扱をするものであつてはならない。
(受任者の報酬)
民法第六百四十八条
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
3 委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
(受任者による費用の前払請求)
民法第六百四十九条 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。
(受任者による費用等の償還請求等)
民法第六百五十条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償。
第二十四条 海事代理士は、第二十二条第一項の規定により掲示した報酬の額よりも高額又は低額の報酬を受けてはならない。
※業務ごとに掲示することが好ましい。
例:報酬額一覧表
サンプル 海事代理士報酬額表 (円) |
船舶登記事件 |
所有権移転
80,000〜150,000 |
(根)抵当権抹消
15,000〜30,000 |
表示変更
10,000〜20,000 |
船舶運航事業 |
定期航路
600,000〜 |
不定期航路
600,000〜 |
不定期航路(人の運送)
100,000〜200,000 |
小型船舶免許 |
更新申請
3,000〜6,000 |
失効再交付申請
4,000〜8,000 |
紛失再交付・訂正
2,000〜8,000 |
特に様式はありませんので、わかりやすく、そして公衆に見やすいように掲示することが望まれる。
なお、業務ごとの報酬だが、「適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むもの」であれば基本的には各人の判断に委ねられるものである。初めて扱う業務で、どの程度報酬をもらえばよいのかというのは、かかった時間・作った書類の枚数等を考慮して決めるのがよいと思う。
ただ、個人的にはある程度、他の先生の報酬の額も気になるところなので、酒席などがあれば積極的に情報交換をするとよいでしょう。
なぜ「○○円 〜 ○○円」という記載なのかというと、業務の難度や手間にもよりきりだからである。
例えば、わかりやすいところで小型船舶免許の更新申請の場合、有効期限がギリギリになると、その人の分の免許申請1件のために役所へ出頭させられるようなこともしばしばある。正直、通常の金額では割りには合わない。
失効再交付申請の場合も「明日、乗船したいんだけど!」なんてことになると、やっぱり手間がかかる。当然、交通費等の実費もかかるところ。
また、不定期航路事業申請の場合も使用船舶が何隻あるのか、航路は幾つ定めるのか、こちら側でどこまでの調査・資料収集を要するのかなど、様々な条件が起因する。こういった事情から、一概にいくら、と言い切れないのである。
(懲戒)
第二十五条 海事代理士が、この法律又はこの法律に基く処分に違反したときは、地方運輸局長は、左に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 一年以内の業務の停止
三 登録のまつ消
(罰則)
第二十七条 第十七条第一項の規定に違反した者又は第二十五条第一項第二号の処分に違反して業務を行つた者は、六箇月以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。
第二十八条 第十七条第二項の規定に違反した者は、五千円以下の罰金に処する。
第二十九条 第十九条の規定に違反した者は、六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
2 前項の罰は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第三十条 第二十六条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、五千円以下の罰金に処する。
海事代理士法施行規則(抜粋)
(他人に業務を行わせることの禁止)
第十四条 海事代理士は、他人をしてその業務を処理させてはならない。但し、他の海事代理士に行わせる場合又は単に事務の補助をさせる場合は、この限りでない。
※
他の海事代理士に行わせる場合も、複代理人選任の権限が与えられていることが前提でしょう。
(任意代理人による復代理人の選任)
民法第百四条
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
また、ここでいう「単に補助」についてだが、要は事務員さんを雇って、簡単事務処理をさせることである。
所轄官庁こそ違うが、下記の行政書士に対する「補助者」についての先例を参考に転記する。
行政書士補助者について
(昭和45年6月16日 45総行指発第487号東京都知事注意)
一 (省略)
二 補助者とは、行政書士の監督のもとで、
行政書士の命令をうけて単純な事務に従事する者をいう。その要件は次のとおりである。
1 行政書士が特に必要と認めること。
2 行政書士の事務を補助する者であること。
3 (省略)
4 補助者は、行政書士の命をうけ、
浄書、計算等の単純な事務に従事する者であること。
したがって、補助者は、行政書士の命をうけて行政書士の専用となって、
単純な事務に従事することが原則であり、それを逸脱する行為は許されないものであること。
三 補助者がもっぱら行政書士の業務を処理する行為は、行政書士法第19条(海事代理士法17条と大よそ同定義)に該当し、同法第21条の罰則の適用があること。
四 行政書士が補助者にもっぱらその業務を行わせ、なんら監督しない行為は、行政書士法施行規則第4条(海事代理士法施行規則第14条と大よそ同定義)に該当し、当該行為に対しては、知事は、行政書士法第14条に規定する処分をすることができる。
補助者の業務領域について
(昭和53年9月14日日行連会長回答)
補助者は行政書士の業務を補助する者であるから、行政書士に命ぜられた業務を遂行するのみならず諸官公署に出向いて書類の提出代行などなしうる。
その場合の書類の訂正は明らかな誤記の訂正は出来ると解するが、内容の実質的な変更については許されないと解する。
補助者の定義については「行政書士の監のもとで行政書士の命令をうけて単純な事務に従事する者をいう」(昭和45年6月16日東京都知事注意)と解する。ただし補助者の濫用などにより弊害が生ずればその行政書士の責任と考えられる。
(表札)
第十五条 海事代理士がその事務所に掲出する表札には、海事代理士の事務所である旨を記載するものとする。
※海事代理士何某事務所・何某海事代理士事務所。
「
何某海事事務所」とするのは、官公署の名称と被るので好ましくない。
※「海事代理士」と「氏名」が入っていれば、他の法令において禁止している場合を除き、ある程度自由に決めてよいものと思われる。但し、細かい点は事前に(社)日本海事代理士会等に確認されたし。
- 海事代理士 高松海事法務事務所
- 海事代理士 高松海事代願事務所
- 海事代理士 高松シーサイド事務所
- 海事代理士 高松法務事務所
※
但し、前述の通り、海事代理士という名称が入っていても、他の法令で禁止している場合はダメです。
NGな事務所名の一例:
- 海事代理士 高松法律事務所
- 海事代理士 高松労務事務所
- 海事代理士 高松特許事務所
- 海事代理士 高松司法事務所
- 海事代理士 高松行政事務所
(帳簿)
第十六条
法第二十一条第一項 の規定による帳簿は、別記第七号様式の通りとする。
2 前項の様式における受託番号は、
毎年更新するものとする。
3 同一事項につき委託者が二人以上あるときは、委託者の欄の記入については、そのうちの一人だけの氏名及び住所並びに他の人数を記載すれば足りる。
4 帳簿には、月及び年ごとに当該月間又は年間に処理した事件の総件数及び報酬の総額を記載するものとする。
※帳簿を備えないと、何かあったときに後で大変である。
※必ず現行のルール等をご自身でもご確認ください。
- 個人事業開廃業届等
- 報酬の源泉徴収義務
- 海事代理士の領収書
- 銀行口座の開設
- お客さんを獲得するには
個人事業開廃業届等
海事代理士といえども、一個人事業主です。開業をするには下記の申請等が必要です。
- 個人事業開廃業届出書
- 青色申告の承認申請書
- 青色専従者給与に関する届出
- 個人事業開始申告書
- 所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書
ここでは、上記1、2、4について解説します。その他は各自で確認してください。
個人事業開廃業届出書
所得税法第229条により、すべての個人事業主に対して提出が義務付けられているものです。
・手数料はかかりません
・開業後1カ月以内の申請が必要です
・提出先は所轄の税務署
青色申告の承認申請書
青色申告の適用を希望する方が行う手続きです(所得税法第144条、同法第166条)。
青色申告による
65万円控除はあまりに強いです。
私はこの手続きを行うのに必要な複式簿記を体得するため、日商簿記3級の取得・青色申告会での学習に尽力しました。
・手数料はかかりません
・提出先は所轄の税務署
・提出時期は、
1.開業日が1月15日より前の場合は3月15日まで
2.開業日が1月16日以降の場合は開業日から2ヶ月以内
個人事業開始申告書
前述した個人事業開廃業届は国税に対するもので、これは地方税に対するものです。
個人事業開始申告書も個人事業を始めたすべてに人に提出義務があります。
個人事業主に対する地方税:
・事業税(道府県民税)
・住民税(道府県民税・市町村民税)
※海事代理士は事務所を増設できるわけですが、本店だけでなく支店の所在地でも納税する義務があります。
・提出先は県税事務所と市町村役場(東京都は都税事務所のみ)
・提出時期は自治体により異なりますので各自で確認して下さい。
※上記の税務署等に関する申請はご自身でよく確認してください。
税理士に依頼して処理することも可能です。
源泉徴収義務
海事代理士に支払う報酬には源泉徴収の法的義務があります。
参照:所得税法204条、205条、所得税法施行令322条
(源泉徴収義務)
所得税法第二百四条 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
一 省略
二 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、
海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
三 以下省略
海事代理士の源泉徴収の方法
報酬額から1万円を引き、残りの金額に対して10.21%を乗じた金額が源泉徴収すべき税額となります。
例えば、私が船舶の根抵当権の抹消登記申請の依頼を受け、依頼人に対して下記のとおり請求したとします。
令和○年○月○日
○○海運株式会社 御中
高松海事事務所
海事代理士 高松大 印
(インボイス番号)
毎度お引き立て賜りありがとうございます。下記のとおりご請求申し上げます
事 項 名 |
報酬額 |
印紙等立替金 |
1番根抵当権抹消登記申請 |
10,000 |
1,000 |
2番根抵当権抹消登記申請 |
10,000 |
1,000 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
小 計 |
20,000 |
2,000 |
消 費 税 |
1,000 |
|
合 計 金 額 |
23,000 |
この場合、報酬額である20、000円から源泉税控除の1万円を引き、残りの10、000円に10.21%をかけます。
(報酬額20,000−源泉税控除10,000)×10.21%=1,210
源泉徴収すべき額は1,210円なので、差引合計額、つまり請求金額は21,790円となります。
実際の請求書には源泉徴収税及び差し引き合計額(実際の請求金額)の記載もしていくことになります。
※海事代理士報酬に対する源泉所得税の徴収漏れは、報酬を支払った会社側が後で不納付加算税等の痛い思いをする可能性もありますし、又はその会社の経理担当の人に突っつかれ、「知らなかった」などということになると、結構恥ずかしい思いをしますので注意が必要です。
海事代理士の領収書
通常、領収書には収入印紙を貼らなければいけないのはご存知のことでしょう。
しかし、例外として営業に関しない受取書は、非課税です(印紙税法第5条、別表第一課税物件表)。
そして、海事代理士の作成する金銭の受取書は、営業に関しない受取書として取り扱われます(印紙税基本通達別表第一)。
「印紙税基本通達」〔昭和53年4月7日間消1−36(抜粋)〕
別表第一 課税物件、課税標準及び税率の取扱い 第一七文書 二六 において、
弁護士、弁理士、公認会計士、計理士、司法書士、行政書士、税理士、中小企業診断士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士、設計士、
海事代理士、技術士、社会保険労務士等がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として取り扱う。
以上から、海事代理士が発行する海事代理士法に掲げる海事代理士業務に関する報酬等の領収書は非課税となりますので、収入印紙を貼る必要はありません。
お客さんを獲得するには
さっそく業務を始めるわけですが、前ページで記述したとおり、資格があれば仕事がくるわけではありません。
「知識収集+実践・行動」について日々努力することが
絶対に必要なのです。
【資格は飴、お客は蟻】
こうゆう構図は有り得ません。
何にもしなきゃ、当然仕事なんて入りません。
それはどんな業種で起業しても同じことです。
海事代理士は仕事を取りづらいのは確かにあります。営業先でも「うちは○○さんと付き合ってるからいらないよ」というのはザラにあります。それにめげずにとにかく営業活動に没頭すること。これに尽きます。
ではどうやって営業して顧客を獲得すればいいんですか?
こういった質問をよく頂きますが、営業というのは一重には言い切れません。様々な形があるでしょう。
私見ではありますが、
「営業」についてしたためた記事がありますので、気になる方は参考にしてみてください。
よく、行政書士・社会保険労務士資格の場合なんかでは、大手の予備校が開業講座を開講していますね。
あれはあくまで、実務に集点を絞ったものが多いと思います。
しかし、実務能力があってもお客が取れなければ宝の持ち腐れです。
なお、海事代理士の開業後の研修会・セミナーとしては日本海事代理士会が実施していますので、こういった研修会・セミナー等には率先して足をお運びください。
過当競争に参入する是非
【ダンピング競争】
これもこれから業務を行っていく上で
深刻に捕えなければならない難敵です。
ハッキリ言って、ダンピング(不当廉売:は不当に安い価格でサービスを提供すること)は自分の首を絞めたあげく、周りの首を絞め、そしてお客さんに質の悪いサービスを提供するという悪いことづくめだと個人的には思います。
ここでいう、「自分の首を絞める」とは、「自分だけ売れればよい」という考えから安くするケースが多いかと思いますが、結局その安い金額での商品の提供では「生計が立てられず」、廃業に追い込まれるということ。
★悪循環
他の事務所より安くしよう
↓それを真似して、「もっと安くしよう」という考えの新人が現れる
↓さらにそれを真似して・・・(繰り返し)
↓【結果】
・
商品(サービス)の質の低下
・結局は自分の首を絞める結果になる
※業界全体が悪くなるということになるでしょう。
もちろん、自由業なので、独占禁止法に違反せず、また、海事代理士・行政書士には不当な金額でない限りは規制はありません。【海事代理士法第22条第2項】
前項の報酬の額は、適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものでなければならず、また、特定の者に対し、差別的な取扱をするものであつてはならない。
しかし、低額な報酬を売りにされた場合、昨今の不景気を考えると勝負できない業務というのが必ず発生します。
そして、劣当での商品提供は、やがて必ず商品の品質の低下に繋がります。
つまり、仕事がほしい、仕事が取りたい、という考えから、その低額報酬を売りにしたお店(事務所)より更に安い金額を提示してしまうのです。
当然、短期的には仕事は来るでしょうが、利益率そのものの向上が見込めないため、結局は廃業に追い込まれるケースが多いのです。
また、既存の先生方も、お客さんを取らなければいけないので、その流れに乗ってしまい、結局はその低額報酬が平均報酬となる、
そして以降、その流れが続いてしまうという。業界全体として良くないとは、そういうこと。
特に影響を受けやすいと考えられるのが、
海事代理士業務
・船舶免許更新
・海技試験申請
・小型船舶登録
行政書士業務
・車庫証明
・パスポート申請
・建設業
などではないでしょうか。
中でも
海事代理士業務は結構未開拓であり、基本的には蚊帳の外だったのですが、
最近ではやはり過当競争が始まっているかと思います。
とくに、際立ったものでいうと行政書士や司法書士の業務の「会社設立」が良い例かと思います。
もちろん、この業務に関してはアイデアと付随して提供するサービスで盛り返すことができるでしょうが、それでも当時15万円からであった平均報酬額が、1万円を切るところがある始末です。
自分はこの業務を広告に出しません。
一見さんからの依頼も期待していません。
なぜなら勝てないからです。いや、勝てないというより、割に合わない、他の業務に時間と金を費やした方が利益率が良いからです。
行政書士法にはありませんが、これは「適正な利潤を含むものでなければならず」に反するものではないのかと個人的には考えてしまいます。
自分はなるべく一般的な平均報酬額に合わせるか、それよりちょっと上の報酬設定をしています。その分、サービスや丁寧さでカバーします。もちろん、それが正しいとは言いませんし、思いません。どうゆうやり方かは個々人の自由です。
しかし、「○○さんの方が安かったよ」と言われてしまうと、やはりグラっときてしまいます。
仕事はほしいです。仕事をすれば、お金になります。
お金が無ければ、明日の飯も食えません。
けど、そこで「ぢゃあ、もっと安くしますよ」とは言いません。
いや、昔はたしかに言っていた時期もありましたよ、やっぱり。
でも、この本質に気付くと、やってはいけないわけではないけど、やらない方が業界的にはいいのかなって思います。
やはり値段ではなく、サービスでクライアントに応えていく、それが「一流」なのかなと個人的には思います。
自分は、お得意さんのところには定期的に足を運んだり、暑中見舞い等お手紙を送ったりなど、とにかく【縁】を大事にするよう心がけています。
3000円の報酬しか頂いていない、地方のお客様であっても、年賀状を欠かさず送っています。
やはり、金額の多寡よりも「付き合い」を大切にしてくださるお客様がまだまだ多いのも事実。
それに気づいてもらえさえすれば、業界全体がよくなってくれるのではないか、そう思います。
無料相談の是非
無料相談についてをどう考えるか。
もちろん、否定はしない。
無料相談という営業手法により、顧客を獲得するもよし。
困っている人を助けるのにお金はいらないと考えるもよし。
しかし、無料相談は最初のうちはいいが、業務多忙の中、無料だから無料だからと電話がかかってくることは恐怖以外のなにものでもない。
早く出なきゃいけないのに、早く仕事を終わらせなきゃいけないのに。
日曜日の早朝でも遠慮なく無料相談の電話は容赦なくやってくる。
さらに、散々相談をしておいて、
「あ、もういいや。ガチャッ、ツーツー(電話の切れる音)」
「いや、代行はいいや。お金もったいないし。ガチャッ、ツーツー(電話の切れる音)」
「もう聞きたいこと聞いたからいいよ、はい、御苦労さま〜。ガチャッ、ツーツー(電話の切れる音)」
「そっか。わかった。そっから先はいいよ。話長くなりそうだから。じゃーな。ガチャッ、ツーツー(電話の切れる音)」
無料相談は申し訳ないですが、このような恩知らずな輩は本当に多いです。
究極のところ、われわれの商売は、
1.時間を売る
2.知識が商品
という性質であるところ、無料で情報だけ聞き出して「はい、さよなら」と、ありがとうも言わずに電話を切るのは、飲食店で例えるなら、お店に入り、食事をしてそのまま帰るに等しい行為であると僕は思います。
※
「ありがとう」を言わない人が世の中にはなんと多いことか。本当に驚くべき事実です。
このような
通称「くれくれ」(情報だけくれ!)は、業務に多大な影響を及ぼすことは言うまでもありません。
うちではそのような経緯や、有料相談の方が相談者側も相談内容をあらかじめメモしてくるなど、【真剣にお話を用意してくれる】というメリットが期待できるところから、無料相談は基本的にはやっていません。
とはいえ、上記飲食店の例で例えるなら、せっかく自分の店を尋ねてきてくださった以上、「ありがとう」の意を込め、お茶の一杯は出します。
ただ、やはり話の冒頭に「
当方は代行業者ですので、
諸手続き・ご相談には料金が発生します」といった主旨の内容はお話します。
電話をしてきてくださった方に、いわゆる『説明して当たり前の「お役所・慈善事業の類」ではない』ということを理解してもらうためです。
実はそれを理解しておらず、
「無料相談なんだから、説明してもらって当たり前」という方があまりに多いこと。
お茶を出し、お話をしながら、お食事は有料ですよと。つまり、ある程度は情報をお客様に提供して、「ここから先のご相談料が発生致しますがよろしいでしょうか」と、うちでは確認しています。
もちろん、ご依頼を前提としてお話をしてくださっておられる場合は当然、相談料は頂きません。
結果、依頼が破綻したとしてもです。
ま、この辺は難しいところですよね。
開業した皆さまは、いろいろな場面や相談にぶち当たり、自分の事務所にとって最も好ましい方法を模索してみてください。
モンスタークレーマー等への対応
はじめに、筆者はクレーム対応のプロでもなんでもない。
これはあくまでも当事務所で関わってきた実体験とその対応について個人的見解を述べるに過ぎないことを理解して読んでもらいたい。当然、ここに書いてあることを実践して損害が生じたとしても、それは自己責任でお願いする。
お客さんがモンスターに変貌を遂げるのは、大なり小なり、こちらの対応やサービスで不快感を覚えたからだ。
このクレーマーという嵐が去った後に残るのは大きな無形の財産だと考える。
なぜか。相当程度にこちらも不快感や面倒な対応を強いられるため、次から気をつけようとなるからだ。
さて、クレーマー対策として、こちらに非があるか否かにもよるが、過去にあったこちらに非は無いと取れる事由から書いてみようと思う。
まだ開業後3年目だか4年目だかの話 |
当事務所Webページに「船舶のことでお困りの際は、お声掛けください。力になります」と言ったような文言があった。
「水上オートバイの任意保険を紹介してくれないか」
当時はそのようなコネクションが無かったので、それを伝えた上で「お力になれるかわかりませんが、私の知っているマリーナの人に問い合わせてみてください」と、マリーナの人にも断りを入れた上で電話番号を教えた。
これがクレームに発展した。
「俺の希望する保険がそこには無かった。他のを教えてくれ」
すみません。現状持っているコネがこのくらいなんですよ。お力添えできなかったようで申し訳ない。
「なんだそれは!誇大広告ぢゃないか!今すぐホームページの記載を削除しろ」
と、やんややんや言われたわけだ。うちとしても、無償で対応してあげたわけで、言うなれば少なからず恩を仇で返すような対応にさすがに頭に来たのを覚えている。
このような人間はお客さんになっても、やがて必ずトラブルを起こすだろうし、うちとしては距離を置くなり、付き合わないようにしている。
だって、普通の人の感覚だと「なんでソコでキレるの?」ってならないか?という話である。
必ず「トラブル」という不必要、かつ、非生産的なお土産を持ってくることは目に見えているのである。
うちでは、「今後この人と付き合うことは絶対にないな」と判断したので、「他をあたってくれ。そうゆう対応でこちらも頭来たからもう話すことはないよ。これ以上しつこくするなら営業妨害で訴えるぞ」という対応をした。
そしたら電話をしつこく鳴らすこと鳴らすこと。逆効果だったのかも知れない(笑)
「よくも電話を勝手に切ってくれたな」ときたもんだ。 |
少なからずこちらに非がある場合 |
まずもって誠意を見せるべきである。ただ、実損害が生じたか否かに関わってくる。
安易に「銭」の話を持ち出すべきではない。
ここで言う「誠意」とは、問題解決に向けて尽力すること、問題の原因を突き止めて報告すること、誠心誠意謝罪の意を表明することである。
それ以上の対応はするべきではない。
もちろん「信用」という財産を傷つけたくなければ、銭で解決するのも方法かも知れないが、うちは少なくとも不必要な対応は避けるべきと考える。
ただ、モンスタークレーマーは自分の思い通りにいかないと、どんどん怒る。
無理難題も言ってくる。
これだけはわかってもらいたいのが、無理難題をしつこく言ってくるクレーマーは「銭」が目当てである可能性が極めて高いと考えられる。
これは経験則上である。
例えば、「今すぐ来い」的なこと。どうしても無理だとわかっているタイミングでそれを要求してくる。
また、引き渡すべきものや、申請すべき書類の紛失してしまったような場合、その無くしたものを寄越せと物理的に不可能なことを言ってくるケースである。
これをしつこく言われると慣れていない人や開業当初の人は心を折られる。「そしたらどうすればいいんですか?」という話になる。
できないことはできないと伝えると、それを不誠実だ、ずさんだ、いい加減だ、ロクな育ちをしていないなどと嬲ってくる。
ここはもう、「申し訳有りません」と、ひたすら謝罪するしかない。もちろん気持ちを込めてだ。
実際にそれ以外、どうしようもないのだが、そこで安易にお金で解決する選択肢は避けるべきだ(こちらの全面的な過失で実損害が生じていた場合はもちろん賠償すべき)。
お金で相手が納得してくれれば、それ以上文句を言われないから、こちらの心は救われるかも知れないが、やがてそれは事務所の首を絞めることにもなる。
うちでは、まず、申し訳ないという意思を明確に伝えた上で、できないことはできないと、「誠に申し訳ないですが」と冒頭に加えた上で断る。
誠意・誠意と言ってくる人は大抵はお金が目当てなので、法的に賠償義務が無いだろうと判断できるのであれば、裁判所を通すよう伝えるとよい。
「今般の事情により、ご迷惑おかけしたことに対してお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。しかしながら、当事務所におかれましては本件においては賠償義務までは無いものと思慮いたすところであります。つきましては、これを精神的損害ということで不法行為として取り扱われるのであれば、それは当事務所として判断でき得るものではありませんので裁判所を通されるようお願い申し上げます。」
と言った具合でいいと思う。
また、当該謝罪について「書面を出せ」というケースもあるが、これもどうゆう使い方がされるかわからないので応じるべきではない。
例えば、
「貴殿の申します損害に対してどうするか、というところまでは現状損害が生じていない現段階におかれましては、当事務所といたしましても結論を出せるものではありませんので、現実に損害が生じた際に裁判所を通して頂きたく存じます。大変申し訳ございませんが当事務所としても、現状は書面の交付も含めて、それ以上の対応はいたしかねます。」
と言った具合でよいと思う。
書面を出すとなると、あれも書け・これも書けと必ず始まる。
事実関係を記載するだけならまだしも、場合によっては「発生した損害を全額賠償する」などと言った危険な文言の記載を強いられることも考えられる。
「全額賠償する」というような危険な損害賠償額の予定の契約を結ぶと、賠償金額が際限なく上がる危険もあるのだ。
賠償については、その損害についての予見可能性などの様々な要素を加味した上で金額を算出すべきだが、そういったものを脱却してしまう危険を孕むので、最初から書面の引渡しは避けるべきなのである。 |
次に、上記で書いたような様々な要求を拒み続けると、やがて様々な官公庁等に通報しまくるという荒業に及ぶこともある。
運輸局、代理士会、その他法人を持っているのであれば法務局、許認可を他に取得しているので、当該所轄行政官庁などである。
様々な行政官庁や関係機関から事務所に連絡がくることになる。この対応には相当程度に苦慮すると思うが、それでも上記の対応は間違っていないと考える。
ミスはミスで仕方ない。故意ではないし、今後の改善策など、具体的な検討をするなど、誠意を持って、当該生じてしまった事象に対処すればよい。というか、それしかない。
こればからは大変だと思うが経験を積んでいってもらうしかない。
とにかく気を張ってもらいたいのが、書類は必ずコピーを取る、取り扱う業務に係る考え得るリスクは事前にリサーチして対策を検討する、再三の確認を怠らないこと、である。
せっかくの開業も家の事情等により廃業しなければならないこともあるかと思います。その場合に必要な手続きです。
根拠法令:
(業務の廃止等)
海事代理士法第十三条 海事代理士がその業務を廃止したとき、又は死亡したときは、当該海事代理士又はその相続人は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方運輸局長にその旨を届け出なければならない。
(業務廃止等の届出)
海事代理士法施行規則第七条 法第十三条 の届出は、書面により行うものとする。
廃止届出書の様式は任意で結構ですので、登録された地方運輸局へ届出てください。
手続きの義務者は、廃業される海事代理士ご本人又は、亡くなられた海事代理士の方の相続人となります。