小型船舶操縦士は、一般的に取得に9〜16万円もの費用がかかるのが実状です。しかし完全独学で全部ストレートに行けばおよそ3万円で収まりますが、実技は陸上に住んでる船に縁のない方からすれば厳しい内容になるのかも知れません。しかし、実技試験用テキストや、実技試験ようDVDだけで合格されている方も数多くいるのが事実です
(スクール出の方・独学の方を含めて実技試験の合格率は約97%)。
ここでは身体検査・学科・実技と私の合格体験談としての攻略法を掲載しますので、受験の際に参考にして頂ければ幸いです。
身体検査
身体検査は、特に目や耳に心配がない方であれば、まったく問題なく通過できます。心配な場合は、診断書をダウンロードし、自分で病院で診断書を書いてもらうこともできます。そうすれば余分にお金はかかりますが、本試験会場での身体検査落ちは免れることはできます。
学科試験
学科試験の1級と2級の差異は、上級運航T・上級運航Uの14問があるかないかです。2級(旧4級〜)を既に持っていれば14問だけで、初めて小型船舶を受験するような場合は、2級の50問と1級の14問の計64問をまとめて受けなければなりません。無難に行きたいのであれば、まず2級を取って、後に1級を受験すれば大分楽になります(2級を持っていれば1級の試験の際、実技試験は免除されます)。
なお、試験実施機関であるJMRAの統計による平成18年度合格率は、以下の通り。
◆学科試験
- 一級小型船舶操縦士 = およそ80%程度
- 二級小型船舶操縦士 = およそ90%程度
- 特殊小型船舶操縦士 = およそ90%
◆実技試験
- 一級小型船舶操縦士 = およそ98%程度
- 二級小型船舶操縦士 = およそ97%程度
- 特殊小型船舶操縦士 = およそ97%程度
※ボートスクール出の人が多いので、合格率ほど甘いとは言えないようです。
まず、学科試験は独学の場合、自分にあったテキストと問題集をそろえます。
私は市販の教本を使い、学科を突破しました。内容に対し、深くは追求しませんが、簡単に説明します。まず基本的な勉強方法として、勉強の90%は問題集中心にしてください。テキストは、最初にさらっと見て、あとは問題集を解いていて、わからなかったらその部分を確認するために見る、そんな程度で結構です。
とにかく問題集中心です。問題集の問題からそのまんま出題されますので。
下記が配点基準と合格基準になります。
|
小型船舶操縦者の
心得及び遵守事項 |
交通の
方 法 |
運 航 |
上級運航T |
上級運航U |
合 計 |
科目別の配点 |
120点 |
140点 |
240点 |
80点 |
60点 |
640点 |
配点合計 |
一般科目 500点 |
上級科目 140点 |
※ 合格基準は、試験科目別の成績が配点の50%以上であり、かつ、成績の合計(1級は、一般科目と上級科目それぞれ)が配点合計の65%以上であること。
小型船舶操縦者の心得及び遵守事項
これは比較的常識な内容ばかりが出題されます。ここは最低100点以上は取りたいです。例えば
「速力制限がないので、自分さえ安全なら高速で航行してもよい」
⇒ いやいや危ないだろう!
「水面の環境に影響を与えるので、ゴミや油を捨てないようにする」
⇒ 当たり前でしょう
こんな感じです。
交通の方法
これは自動車でいう道路標識や交通方法などが中心です。小型船舶免許を目指す人は当然、船舶を操船してみたいから受験するわけでしょう。自動車の運転免許を持っていれば、対比してみると「面白い!」と感じるかも知れませんね。例えば日本では自動車は左側通行ですよね。でも船舶は右側なんです。
この分野での難所は夜間灯標や形象物、汽笛信号などです。
単純に「暗記」の領域になりますので、面倒に感じてしまう方も多いかもしれません。
ただ、決して難しい内容ではありません。1級小型船舶操縦士試験のように計算が必要だったりするような「難しい問題」ではありません。
単純に「覚えれば勝ち」ですので、繰り返し問題集を解いてみてください。
余談ですが、この科目は海事代理士試験を突破した方には軽いですし、海事代理士試験を目指す方にはちょっとした練習になりますね。
運航
これが最大の山場ですね。とはいえ、問題集を繰り返し解いていればまったく問題ないです。
内容としては船舶の構造・距離や速力の測り方・コンパス・天気図など、とにかくとっつきにくい内容です。
上記「交通の方法」で書いた難所と同様、
単純に「暗記」の領域になりますので、面倒に感じてしまう方も多いかもしれません。
ただ、決して難しい内容ではありません。1級小型船舶操縦士試験のように計算が必要だったりするような「難しい問題」ではありません。
単純に「覚えれば勝ち」ですので、繰り返し問題集を解いてみてください。
ここからが1級の科目になります
上級運航T
1級小型船舶操縦士試験最大の難関の海図がここで登場します。8問中、3問が海図です。海図を捨てるという究極の手段を取っても合格は可能ですが、お勧めはできません。
ステップアップをするためには14問中、10問の正解が合格ラインです。つまり、海図3問を捨てると残り1問しかミスれないんです!非常に危険ですね。しっかりと理解することが重要です。
■海図は最初は、緯度経度やらコンパス図やら訳がわからないかと思います。
これは二級小型船舶操縦免許を取る際に基礎を学習していますので、逆に言うと二級小型船舶免許の教科書を振り返らないと通常は解けないということになります。
※よくある質問ですが、
本試験では電卓の使用は不可です。
■次に受験生がやっかいな問題と位置づけているのが、潮汐表から高潮時・引潮時の潮時潮高を求める問題ですが、これは苦手意識を持たずよく見れば非常に簡単だということがわかります。
テキストだけではどうしてもイマイチ理解できず、よくわからないので適当に覚えてしまうケースが多いのがこの問題ですが、
実はまったくなんてことはないということがわかります。
この問題は、一回で覚えてしまえるタイプの問題ですが、
油断せずにやはり複数回解いてください。
一度しか解かないと、後で「あれ?どうやって解くんだっけ?」となってしまいます。
■その他、天気図に関してもイマイチわかりづらいのが通常ですが、DVDにあるように気圧の動きを見ていくことで理解が早まります。試験対策上、特に頻出が日本海低気圧型です。
上級運航U
ここでは船舶の構造に関する問題が、少し世間とは離れていてとっつきにくく厳しい内容になります。自動車やオートバイが好きでよくいじっておられる方は、ある程度とっつきやすいと思いますが、そうでなければとにかく問題集を解きまくってください。専門用語が出まくるので、きついですが頑張ってください。
ここはとにかく「暗記」が勝負です。上級運航とは違い、
難しい内容ではありません。
やっかいな計算などはありませんが、
覚えるのが面倒で飽きてしまう方も多い、ある意味での難所です。
とはいえ、難しい内容ではありませんので、問題集を反復して「
無理やり頭に叩き込む」という方法で頑張ってください。
受験する試験 |
お持ちの資格の
現在名 |
試験科目 |
操縦者の心得及び 遵守事項
|
交通の方法 |
運航 |
上級
運航T |
上級
運航II |
一級 |
二級 |
免除 |
免除 |
免除 |
○ |
○ |
特殊又は
二級1マイル限定 |
免除 |
○ |
○ |
○ |
○ |
二級 |
特殊又は
二級1マイル限定 |
免除 |
○ |
○ |
− |
− |
二級 (湖川) |
特殊 |
免除 |
免除 |
○ |
− |
− |
特殊 |
一級又は二級 |
免除 |
免除 |
○ |
− |
− |
注1:二級(湖川)、四級(湖川)、五級(湖川)をお持ちの方が、二級以上及び特殊を受験する場合、免除科目はありません。
注2:海技士(航海)をお持ちの方の免除科目は、「交通の方法」「運航(特殊の「運航」は除く。)」「上級運航T」となります。
注3:海技士(機関)をお持ちの方の免除科目は、「上級運航II」となります。
※例えば、海技士(航海)・海技士(機関)・旧四級小型船舶操縦士の3種の資格をお持ちの方が一級を受験する場合は、身体検査のみとなります。
海技免状を持っていた場合、様々な科目免除があります。 |
■一級小型船舶操縦士試験
☆海技士(航海)の資格を持っていると、 1.交通の方法(一般) 2.運航(一般) 3.運航(上級I)
が免除になる。
☆海技士(機関)の資格を持っていると、 1.運航(上級II)
が免除になる。
■二級小型船舶操縦士試験又は二級小型船舶操縦士(第二号限定)試験
☆海技士(航海)の資格を持っていると、 1.交通の方法(一般) 2.運航(一般)
が免除になる。
■二級小型船舶操縦士(第一号限定)試験
☆海技士(航海)の資格を持っていると、 1.交通の方法(湖川小出力) 2.運航(湖川小出力)
が免除になる。
■特殊小型船舶操縦士試験
☆海技士(航海)の資格を持っていると、 1.交通の方法(特殊)
が免除になる。
と、このように規定されています。 |
実技試験
実技試験は、5トン未満の試験船に乗船して、原則として受験者3人に対し試験員1人で実施します。
さて、私が合格したルーツですが、素直にスクールで実技講習を受けました。
実技試験に関しては、技術を見るのではなく、如何に安全に運転しているかを見ます。
最も注意すべき点を上げておきます。
- エンジンをかける際の換気を忘れずに
- とにかく安全確認をしっかりやる
- きちんと声を出す
以上を大前提に、小さなミスもしないように集中してください。緊張の度合いは学科の比ではないですが、ちゃんとやることさえできていれば、受かります!大丈夫です!とにかく自信を持って頑張ってください。
※なお、ここで紹介している方法は、合格を「絶対」とするものではございませんので御了承下さい。
小型船舶操縦免許の国家試験申請について
ボート・水上オートバイ(小型船舶操縦免許証)の国家試験申請・免許の申請は以下の手順になります。
@ 日本海洋レジャー安全・振興協会(国家試験実施機関)に試験の日程を問い合わせる。
A 日本海洋レジャー安全・振興協会(国家試験実施機関)に国家試験申請書その他の書類を作成・添付し、試験の申請をする。国家試験申請書がなければ、財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会(国家試験実施機関)からもらわなければなりません。
B 試験申請後、財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会(国家試験実施機関)から受験票を受領する。
C 申請書に記載した筆記試験実施日に、受験票等、必要なものを持参して行く。
D 後日日本海洋レジャー安全・振興協会(国家試験実施機関)に筆記試験の合否を問い合わせる。
E 必要なものを持参した上、日本海洋レジャー安全・振興協会(国家試験実施機関)の指定した実技試験実施日に行く。 (日程によっては学科・身体検査・実技を1日でやってしまう場合もあります)
F 日本海洋レジャー安全・振興協会(国家試験実施機関)に実技試験の合否を問い合わせる。
G 総合合格を確認後、日本海洋レジャー安全・振興協会(国家試験実施機関)から国家試験合格証明書を受領する。
H Gで受領した書類に加えて、免許申請書その他の書類を作成・持参して、運輸局又は運輸支局へ免許の申請をする。なければ運輸局などの購買で購入するなどして入手しなければなりません。
I Hで申請書の記載に誤りあるいは、申請書類に不備がなければ、申請書が受理され、新しい免許証を発行してもらえます。